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2024年09月26日
樹木医日記 ~ I wonder ~ ㉕
樹木医日記~I wonder~⑰、㉒でのクビアカツヤカミキリ対策の続きです。
5月末と7月上旬に成虫の産卵阻止と若齢幼虫対策として、サクラの幹に薬剤を散布しました。
その後、成虫の発見はさほど見られず、しばらく変化はなかったようですが。
8月後半にネットをしたサクラの2本隣の木から木くずが出ていると、神社の方から連絡をいただきました。
確認に行きましたところ、4本並んでいるサクラのうち無事なのは1本だけで、被害は広がっていました。
今年初めて木くずが発見されたサクラ2本も数年前から被害を受けているサクラ同様、根元の幹周250cm高さは7~8mの大きく立派なサクラです。
樹幹散布は、通常根元から3mくらいの高さまででおこないます。
薬剤の濃度が高いため、葉や新芽にかかってしまうと枯れてしまう可能性があるからです。
上の写真は高さ3m以上の幹から木くずが出て、サクラは自身を守るためにヤニを出しているところです。
薬のかかっていない高さで幼虫の被害が広がっているのを見て、考えました。
樹幹注入が有効かもしれませんが、予算の問題もあります。
薬害が出るだろうけれど、濃度を倍に薄めて、3m以上の高さへ散布をしてみることにしました。
幼虫は寒くなるまで、まだまだ幹近くの材を食べ続けるはずです。
幼虫に薬剤散布が効いて、勢いを止めることができることを願います。
まだまだサクラとクビアカツヤカミキリの攻防は続きます。
微力ながらサクラを大切に見守ってきた神主様夫妻、地域のサクラを愛する皆様の力になれますようにと思います。