オーナーブログ
2023年06月06日
樹木医日記 ~ I wonder ~ ⑦
これは、彦根にあるケヤキ並木のなかの1本のケヤキの写真です。
樹齢400年近いケヤキは老木となって傷んでいるところがあちこちあります。
このケヤキは幹の真ん中に大きな空洞があり、上の枝には枯れたのか切られた跡がいくつかありましたが、元気のよい枝が新しく伸びています。
老木となったこのケヤキに新しい力を与えているのは、この空洞の中から地面へのびている新しい根っこのおかげと思えます。
本来は土の中に伸びるはずの根っこですが、いつもと違うところから発生する根っこのことを不定根といいます。
不定根はどの植物でも発生する可能性があるものです。
このケヤキのように老木となって樹勢が衰えた木の回復に不定根を使った治療があります。
根の先が地面に到達するまで乾いてしまわないようにミズゴケを巻いたりして、人工的に地面へ誘導する方法などをおこないます。
このケヤキはまだまだ長生きしてくれそうです。樹木の生命の力に圧倒されます!